対談・インタビュー
ブラッドリコール制作秘話【後編】
この記事の前編はコチラから
ZUMEからオオタへの質問
オオタ
:逆にZUMEさんから僕に質問とかってありますか?
ZUME
:えっと…ゲームデザインとかは大丈夫だろうなって思っていました。悩みすぎている部分もあったと思うんですがOKラインが僕にあったので僕の方でこれですっていうとオオタさんがそれに沿ってくれるので大丈夫だなって思ってました。
血廻システムってどう思ってますか位かな(笑)あれって結構途中から累積していくシステム欲しいよねって話から始まって僕の要望が強くあったんですけど。
オオタ
:うーん…なんだろうな…。いいのかなって思ったのが本音でしたね。
僕が最初に思ったのはガンナガンに近づきすぎないかなっていう部分でした。いま思えばそれは杞憂なのですがあまりにもガンナガンライクにならないかなっていうのはどこかにありました。
ただ、いざ組んでみて思ったのは結局同じものは生まれないということなんですよね。
ZUME
:はいはい
オオタ
:ガンナガンだったら銃を撃てばボルテージになって、ボルテージが必殺技につながる流れだと思うんですけど、BLOOD RECALLの血廻システムで得る感動体験とガンナガンで得る感動体験は全然違うものだったっていうところで悪く考えすぎたと思います。
ガンナガンから離れなければという思いは当時ありましたね。
ZUME
:そうですね…めちゃくちゃわかります。
僕が考えるカードゲームの要素がいくつかあって、基本的なゲーム構造として必ずなければならないのが、個人的に思っているのが累積していく要素がなければ破綻してしまうという点です。多分他のゲームにも言えると思うんですけど基本的にコミュニケーションゲームでなければ累積していく要素が存在しているのが多いんですけど、BLOOD RECALLで問題点としてあったのは血がリフレッシュしてしまうので、そこに対して累積していく要素がなくなってしまってゲームの中で累積していく要素がデッキの強さ位しかなかったんですよ。そうなってくると累積する要素が1個になってしまってどっちがデッキをちゃんと組めたかのゲームになってしまって、片方がデッキの構築に間に合わなくなった時につまらないゲームになってしまってたんですよ。その時の間に合わせの要素が欲しくて圧縮したときのカードを累積にした方がいいんじゃないかって思って必殺技の要素を作ってもらったっていうのがありますね。
オオタ
:そうですね、ゲーム体験が広くなるっていう事実がそこにあったんですよね。そこに対して当時はすごく怖い気持ちでいたんですけどいざやってみると別にそんなことなかったですよね(笑)
ZUME
:まぁでもほかのゲームでよくある墓地利用とかと同じようなものですよ。
オオタ
:そうでしたね(笑)言ってしまえばほかのカードゲームでよくあるカードを引く、カードをプレイする、それが墓地に行く、それで墓地に行ったものを何々するみたいな領域を指定して何かするといったことでしかなかったんですよね、今思えば。
ZUME
:ガンナガンのボルテージシステムもあれはそもそも銃で撃ったカードがすぐに墓地にいっちゃうので、墓地利用を悪さをさせないために僕の方から※3☆ローズに一番最初にお願いするときに銃で撃ったカードは一番最初にボルテージみたいな場所にいって、ボルテージにたまったものを必殺技に使ってくれっていうのを提案したっていうのがあったんです。だから目的が違うから体感は変わるだろうなっていうのがあって、尚且つガンナガンをやったプレイヤーに対しては馴染み深いものだからシステムに入れてもらえるだろうなと思っての提案でした。嚙み合ってよかったなていうのが僕の感想でした。
※3☆「ガンナガン」のゲームデザイナー
オオタ
:僕もボルテージシステムはめちゃめちゃ完成されたデザインだなって思ってました。
ZUME
:ありがとうございます。
逆に僕からの質問なんですど今直したい部分ってありますか(笑)ぶっこんだ質問なんですけど(笑)
オオタ
:うーん…何だろう。言ってしまえばシールドに変わるような安全弁を付けたいくらいですね(笑)
ZUME
:それは設計としてですよね(笑)
オオタ
:そうですね(笑)いまのBLOOD RECALLには安全弁がないんですよ。決まると気持ちいいんですけど※4☆OTKがある程度ゲームの寿命を削るんですよね。なのでOTKに対して何かしらの安全弁をデザインしないといけないなとは思っていてそれを未来の自分に回してしまったので(笑)過去に戻れるならそこの安全弁を考え直したいですね。まぁ今思いついていないので無理なんですけどね…。
OTKが強すぎる流れが出来たとしてそれを咎めるものを作りたいです。
※4☆カードゲームなどで1ターンだけで相手を倒しきること。
ZUME
:それは未来の僕らが何とかしてくれますよ(笑)真面目に答えるとそれこそ大きいダメージに対して置いておくガードみたいなものが合ってガンナガンでも14点のダメージに対応できるように機能で置いておいて、それを生贄に捧げると無効に出来るとかあったりするんですよ。そういうものでダメージ上限を変えられたりします。
オオタ
:追加の機能で解決することが出来そうっていうのが現実的なところですかね。
ZUME
:そうですね。天穹の蒼みたいに場において、場にあるときには効果を発揮するけど相手の攻撃によってシールドみたいに剥がすことができるみたいなものでもいいと思います。血廻に送ることによって無効にできるとかの効果を持ちつつ、複数枚一緒に剥がすと向こうに出来るとかの効果が合ってもいいかもしれないですね。それこそテーマにシールドを持つ契告書が合ってもいいかもしれないですね。それが一番かもしれないです。
きっとなんとかなりますよ(笑)
オオタ
:何とかなりますね(笑)今僕が知っているカードゲームの安全弁になるようなシステムは大体詰め込んだので、まぁ僕が全てを網羅できているわけではないんですけど…。今僕が作ったゲームの中ではBLOOD RECALLが最新作なので一応僕の中での最新の研究は詰まっているかなと思っています。
ZUME
:体験面の僕とシステム面のオオタさんのいいところを両方取れたなって思えたゲームだと思いますね。
オオタ
:あと1人用モードは何があっても入れるなと思っています。BLOOD RECALLのソロモードは実は3日位しかかけてないんですよ。
時間がなかったんですけど鉄の意志で入れましたね。
ZUME
:すごいですよね(笑)根幹の2人対戦用のシステムを半年位かけてちゃんと面白くて、1人用を3日位でもちゃんと面白かったんでこれで行きましょう!となりましたね。1人用モード本当面白いですよね。
オオタ
:ありがとうございます。対戦格闘ゲームのアーケードモードみたいな感じで組みましたね。
ZUME
:まだやってない人は是非やってみてください!
オオタ
:難易度も選べるようになってます。色んな事を考えて作っているので是非楽しんでください。ソロモードに関しては僕の作るものにはできる限り入れたいと思っています。
制作で大変だったエピソード
オオタ
:やっぱりコミュニケーションですかね。最初大変だったのは(笑)
ZUME
:そうですね。お互いの温度感を知るまでが大変でしたね。確か3回位しか喋ったことがない状態で仕事を一緒にするってなりましたからね(笑)
オオタ
:そうですね(笑)お互いがどんな人か分からない状態でしたからね。一応お互いの創作物は知っていたので、なんとなくこういうことが出来るんだろうなというところから一緒にやり始めましたからね。
ZUME
:でも初めのミーティングの時、画面共有をしてたまたま映ったサイトで盛り上がって、それで仲良くなれるなって安心した記憶はありますね。
オオタ
:そうでしたね(笑)
ZUME
:本当に僕のクリエイティブも出すことが出来たし、みんなのクリエイティブを出せたので良かったなと思いますね。やっぱり3人って仕事をする上でやりやすいんですよね。
オオタ
:そうですね。僕もチームをやる上で毎回考えるのはなるべく3か5の割れない数字でやることを意識していますね。
ZUME
:大体僕とオオタさんで意見が分かれた時にもう一人の人にどうって聞いてましたね。
オオタ
:もし喧嘩とかになりそうでもまぁまぁって言える人がいるようにっていうのが大事ですね。
ZUME
:でも本当に喧嘩とかなかったですもんね。クリエイティブのぶつかり合いはありましたけど、それは本当に良いものを作るっていう方向にお互いの意見なのですごい良かったなと思います。熱量があったのですごいやってて楽しかったです。
オオタ
:ありがとうございます。僕も尊敬するZUMEさんと一緒に仕事が出来て楽しかったです。
ZUME
:ありがとうございます(笑)僕も制作を続けているとどうして手癖でやってしまうことがあるんですけど、熱量があるとそれがなくなるのがいいなと思います。でもやっぱりカード枠を作るときが産みの苦しみの部分で苦しかったんですけどでも楽しかったですね。思い返してみれば全部ポジティブな思い出になりますね。